信念や祈りがOCDの治療と関係があるのか,と思うひとがいるかもしれない。だが,OCD患者のほとんどすべてが,いずれかの時期にこの病気がもたらす恐ろしい不安から解放されたいと祈っているはずだ。深い恥辱感にさいなまれて,超自然的な力でもなんでもいいから,強迫観念や強迫衝動に追いたてられる苦痛から解放してくれないかと願うにちがいない。だが,必要なのは症状が消えるようにと祈ることではない。祈っても症状は消えない。そうではなくて,OCDと闘う力を与えてくれと祈るべきだ。OCDの患者たちがときには意気阻喪して,罪悪感や劣等感から自己嫌悪に陥るのも無理はない。行動療法がうまくいったときの,大きな精神的成果のひとつは,OCDの症状が当人の心や精神の健全さとは何の関係もなく,すべては病気のせいであると気づいて,自分を許す気になることだ。
ジェフリー・M・シュウォーツ 吉田利子(訳) (1998). 不安でたまらない人たちへ 草思社 pp.115-116
(Schwartz, J. M. (1996). Brain Lock. New York: Harper Collins.)
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