OCDの執拗な症状を消そうと考えることの無意味さを説明するために,わたしはよく,カメレオンとセラピストのたとえ話をする。気の毒なカメレオンにセラピストが言う。「いいですか,もう少し落ちつくことです。色が変わってしまうたびにおろおろしていては,何の進歩もありません。さて,落ちついたら,緑色の背景のところへ戻ってごらんなさい」
OCDの患者もまったく同じだ。しつこくつきまとうばかげた衝動を追いはらおうとやっきになればなるほど,衝動は消えにくくなり,結局あきらめるしかない。OCDが勝利を獲得する。自主的な認知行動療法の基本原則は,「だいじなのはどう感じるかではなく,何をするかである」ということだ。
ジェフリー・M・シュウォーツ 吉田利子(訳) (1998). 不安でたまらない人たちへ 草思社 pp.128
(Schwartz, J. M. (1996). Brain Lock. New York: Harper Collins.)
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