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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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SPRの歴史

 SPR[心霊現象研究協会]が設立されたのは1882年のことだ。ヴィクトリア朝まっただ中の当時のイギリスでは,霊媒や透視能力者が続々と登場し,巷にあふれる超能力者や交霊術師が日々新しい能力を喧伝していた。イギリスにこれほど多くの超常エネルギーが集まるのはなぜか。SPRの公式な沿革によれば,その理由を探るべく,いくつかの名門大学の著名な学者からなる一団が協会を設立した。
 SPRの初代会長であるヘンリー・シジックはケンブリッジ大学の倫理学教授で,「当時の知識階級の間で非常に高い地位と倫理的地位」を誇っていた。古典文学者のフレデリック・マイヤーズのウィリアム・バレット,実験物理学者のレイリー卿,哲学者でのちのイギリス首相アーサー・バルフォア,古典学者で哲学者のジェラルド・バルフォア,バルフォア一族の出身でヘンリー・シジックの妻であり,後にケンブリッジ大学ニューナム・カレッジ校長に就任した数学者のエレノア・シジックなどの著名人」が名前を連ねている。こんなヘビーウェイト級のIQ(知能指数)の持主が相手なら,エセ超能力者に勝ち目はなかったはずだ。
 SPRのメンバーは真剣な態度で調査に臨み,厳密で科学的な手法を用いた。初期の活動は超常現象の調査やトリックの暴露が主で,イカサマの手口を再現したりもした。だがときには,本物としか思えないような事例に遭遇することもあった。なかでも有名なのが,アメリカ人女性レオノーラ・パイパーのケースだ。SPRが彼女に関心を持ったのは,小説家ヘンリー・ジェイムズの兄で先駆的な心理学者,ウィリアム・ジェイムズの報告がきっかけだった。

ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.35-36
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