大半の人はサイキックにそれほど力があると考えているわけでもありません,とワイズマン(リチャード・ワイズマン)は言う。わけがわからない。何やら突然,懐疑的なのはワイズマンではなく,サイキックを必要とする人のほうだという話になっている。僕はコーヒーを飲み,教授の解説を待つ。
「なぜサイキックに会いに行くのかと聞かれて,彼らがサイキックだからと答える人はほとんどいない。たいていは『助けてくれそうだから』と答える。これは便益性の問題です。シルヴィアなら,素敵な恋人を見つける手助けをしてくれるだろう。そう思うだけのことです」
ワイズマンは勢いづき,身を乗り出して続ける。「でも興味深いことに,本当に深刻な問題が起きたとき,人はサイキックのところへ駆け込んだりしません。子供が誘拐されたら,まず警察に連絡する。その後でなら,サイキックに相談することもあるかもしれない。人がサイキックの有効性をどの程度のものと考えているか,よくわかりますね。病気になった場合も同じです。医者に診てもらわず,心霊治療だけを頼りにする人はゼロに近い」
ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.103-104
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