「それに,霊視中に仕事をしているのは霊能者ではなくシッターのほうです」ワイズマンはそうつけ加える。
なんてこった。サイキックは悪党なうえに,やる気までないのか。
「霊能者の言葉は多くの場合,非常に曖昧です。『過去にトラウマ的な体験をしましたね』なんて言うが,具体的には何を言いたいのか。それを聞いたシッターは『すごい』とか『そのとおりです』と答えるが,彼らの思考プロセスはどうなっているのかと不思議になる。霊能者のもとを訪れる人は,最初から協力する気満々なのでしょう。霊能者に言われたことが自分の人生にうまく当てはまるよう解釈する」
こうした心理を浮き彫りにするのが,心理学者のスーザン・ブラックモアが行った研究だ。ブラックモアは6000人を対象とした調査を実施し,特定の記述が自分に当てはまるかどうか答えてもらった。「わたしにはジャックという名前の身内がいる」にイエスと言った人は4分の1強。「私の左膝には傷跡がある」という記述が自分に当てはまると言った人の割合は3分の1を超えた。
「霊能者はこの現象を霊視に利用し,さも的中率が高いかのように見せかけます」ワイズマン教授は言う。「だが実際のところ,彼らの言葉は多くのシッターに当てはまる一般論だらけなんです」
ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.106-107
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