イギリスにおける魔女の迫害は1951年に,ようやく法律上で終わりを迎えた。その年,超能力者や霊媒をかたって報酬を得ることを禁止する「虚偽霊媒行為取締法」が施行され,おかげで魔女自体は法に触れる行為ではなくなった。虚偽霊媒行為取締法が制定された主なきっかけは,1944年にヘレン・ダンカンという霊媒が「妖術禁止法」違反で逮捕され,大きな論議を巻き起こしたことだ(ダンカンは結局,同法違反で裁かれた最後のイギリス人になった)。だが,新法施行の原動力になったのはダンカン事件だけではない。イギリスでは当時,あちこちの新聞に星占い欄が登場し,人気を集めていた。こうしたものまで不法行為とみなすのはあまりにばかげた話だ。虚偽霊媒行為取締法では,霊媒を名乗っての詐欺は禁じられたが,本物の霊媒は活動を許された。以来,勢いを得たスピリチュアリズムは大変な盛り上がりをみせている。
ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.190
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