「やり方は2つだ」彼は言い,僕の超能力が期待に背いたときのためのライフラインとして,コールド・リーディングを伝授してくれる。「多くの人に当てはまるようなごく一般的なことを言うか,ものすごく具体的なことを言うか。大正解を1つ言えば,霊視相手はそれまでの的外れな発言を全部忘れて,奇跡が起きたと思い込む。いちばんいいのは2つのやり方を組み合わせることだね」
ありがたいことに,彼は具体的な例も教えてくれる。「例えば,廊下で寝ている犬が見えると言ってみる。反応がないなら,犬の写真が見えると言って,それでもだめなら,写真が見える,家族の写真が見えると言う。そのうちどれかが命中するよ」
ある霊能者が実際に使った,こんな手もあるという。デレンが数年前に撮影したその霊能者は,ある若い女性に死んだ父親のメッセージを伝えていた。彼はこう言った。「お父さまが亡くなったのはそれほど昔ではないですね——数年前ではないかと感じますが,そのとおりですか?(女性が否定する。)ええ,現実にはそうですが,あなたが最近のことのように感じると言い続けていると,お父さまは私に告げています。ずっと前だったことはわかっていますが,あなたは最近のことのように感じているんです」
霊能者は外れから当たりへスムーズに移行してみせた。なんて賢い。そして女性も,彼はよく当たる霊能者だと考えたのだ。
ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.293-294
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