とどまるところを知らないリチャード・ワイズマンは数年前に行った実験で,ある独立系アナリストと,ある金融業界専門の占星術師(名前を明かせば,あのクリスティーン・スキナーだ)と,驚くなかれ,ティアという4歳の女の子に株式投資で資金を増やしてほしいと依頼した。アナリストは経験とスキルを駆使し,クリスティーン・スキナーは星のお告げを読み解き,ちっちゃなティアは好き勝手に銘柄を選んだ。
大勝利を収めたのはティアだった。3人は5000ポンドの資金を1年にわたって運用したが,ポートフォリオを黒字にしたのはティアだけ。ティアの収益率は5.8%に上ったが,惑星の運行に頼って投資したクリスティーンの収益率はマイナス6.2%,アナリストに至っては情けないことにマイナス46.2%だった。ティアの運用成績はFTSE100種総合株価指数さえも上回った。同指数は実験が行われた1年間に16%下落している。
この事実を頭に叩き込んで再びヴァイスの本を読みはじめた僕は,衝撃的な1文に出会う。「迷信的行為は時間と労力と金の無駄であり,不確実性に対して効果のない反応を長引かせる」
ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.356-357
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