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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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遺伝子では足りない

 遺伝子がコンピュータのシリコン・チップの設計図のように脳のニューロンの結合を決めるというのはもっともらしく聞こえるが,数学的には不可能だ。新ミレニアムの初めに完成に近づいたヒトゲノム・プロジェクトによって,人間には約3万5千個の遺伝子があることがわかった。このうち半分が脳に関与し,神経伝達物質を合成したり受容体をつくったりしているらしい。だが,先にいったとおり,脳には億単位のニューロンがあって兆単位の結合ができている。ひとつの遺伝子がひとつの結合を担当するとすれば,黄色ナメクジの脳程度にもならないうちに遺伝子が足りなくなる。遺伝子の欠陥といってもいい。シナプスが多すぎ,遺伝子が少なすぎるのだ。わたしたちのDNAは,人間の脳の配線図をつくるほど豊富ではない。

ジェフリー・M・シュウォーツ 吉田利子(訳) (2004). 心が脳を変える サンマーク出版 pp.118
(Schwartz, J. M. (2002). The Mind and The Brain. New York: Harper Collins.)
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