「成熟は10歳では終わらず,10代から20代に入っても続いている」と国立精神衛生研究所のジェイ・ギードは言う。4歳から21歳までの145人の健康な脳をMRIで調べたギードは,前頭葉の灰白質が11歳から12歳の頃に増大していることを発見した。「いちばん驚くのは,灰白質の過剰生産の第二の波がやってくることです。これは生後18か月で終わると考えられていたもので,そのあとは目立って低下します。思春期に第二の創造の波が押し寄せるようだが,これは新しい枝が伸びて結合し,その後に刈り込まれることと関係しているのでしょう」
胎児期の発達と同じで,10代においても,認知やその他の能力を支えるシナプスは使われれば残り,使われなければ消える。使われない回路を組織的に廃棄していくからこそ,刺激を受ける神経ネットワークの効率が上昇するのだろう。言い換えれば,若者が積極的に取り組む行動を支えるネットワークが効率化するということだ。
ジェフリー・M・シュウォーツ 吉田利子(訳) (2004). 心が脳を変える サンマーク出版 pp.135-136
(Schwartz, J. M. (2002). The Mind and The Brain. New York: Harper Collins.)
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