忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

18世紀のネットショップ

 ヨーロッパのさまざまな港には大量の通信文書が残されているが,なかでもイタリアのリヴォルノの港で発見された,成功したダイヤモンド商人のユダヤ人の手紙が興味深い。このユダヤ人の名はエルガス=シルヴェラ貿易商会のアイザック・エルガスといい,彼は得意先から,インドの有名なゴルゴンダ鉱山のダイヤの注文を受けた。18世紀のリヴォルノのユダヤ人貿易商について研究したイタリアの学者フランチェスカ・トリヴェラートによると,こうした顧客の注文は,「かくかくしかじかのダイヤを」というように,きわめて具体的だった。
 私がiPodをアップル社に注文したように,ダイヤを手に入れたいイタリアの顧客は,エルガス=シルヴェラ商会に現金で前金を支払った。インドのダイヤ商人たちはイタリアの通過リラには関心がなかったため,エルガス=シルヴェラ商会は,現金の代わりに地中海産の珊瑚のネックレスを船でインドへ送りつけた。イタリアの顧客の中でも幸運な者は,モンスーンが終わる前に注文を出すことができた。代金替わりの珊瑚のネックレスは,まずイギリスやオランダの船でリスボンに送られ,そこから厚い鋼板で覆われた大型の帆船に積み替えられて,まる1年かけてゴアに辿り着いた。ゴアにあるインド人の貿易商社は,珊瑚の市場価格を見定めてそれに見合うさまざまなサイズと品質のダイヤを送り返した。すべてが順調に運べば,つまり船が嵐で沈没するようなことがなければ,イタリアの注文主は1年か2年後に確実にダイヤを受け取ることができたのである。

ナヤン・チャンダ 友田錫・滝上広水(訳) (2009). グローバリゼーション:人類5万年のドラマ(上) NTT出版 pp.115-116
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]