「都市と地方の格差」と言っている人にお聞きしたい。あなたの言う「都市」ってどこのことですか?そもそも「地方」にも福岡とか元気な「都市」はあったわけで,「都市」と「地方」を対立概念にしている時点で言葉の選択を間違っていますが(本当はせめて「大都市圏」と「地方圏」と言うべきでしょう),それはともかく大阪は,あなたの言う「都市」なのか「地方」なのか。人口1700万人の京阪神地区,G8で3番目の巨大都市地域を「地方」だと言うのですか。ちなみに一番が人口3千万人以上の首都圏,2番目が1900万人程度のニューヨークですが。
でもその大阪の個人所得やモノ消費の動向は,実はどの田舎の都道府県よりも苦しい推移をたどっているのです。05年に個人所得の低下率が47都道府県で一番大きかったのも大阪府でした。「いやあ,大阪は大都市の中の例外だよ」と言う人は,何を根拠にそう片付けるのでしょう。「何が原則で何が例外なのか」,どの程度までが「例外だ」で片付けていい範囲なのか,ということを日頃から詰めて考えておらず,先入観に反する事例を勝手に例外と決めつけているだけではないですか?
藻谷浩介 (2010). デフレの正体:経済は「人口の波」で動く 角川書店 pp.81-82
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