そもそも議員が毎月支払う議員年金の掛け金は,1958年の国会議員互助年金法の施行時は2700円だった。それがどんどん上がって94年には月10万3000円になった。これを引き合いにだして,「そらみろ,国会議員だって懐を痛めているじゃないか」と居直る議員もいるが,これはペテンだ。
実は議員年金の掛け金が上がるにつれて,歳費も上がってきたのである。58年当時の月額歳費は9万円だったが,94年時は133万2000円だ。国民のみなさんが厚生年金の掛け金が上がっても,給料は上がらずやりくりしているのとはまったく次元が違う。自分の財布を傷めないこんな年金制度は世界を見渡してもほかに例がない。
それなのに,ある国会議員などはテレビに出演した時に,「私たちは辞めた後にもいろいろお付き合いがあって,お葬式にもちょくちょく顔を出さないといけないし,議員年金は必要なんです」と恥ずかしげもなく訴えていた。付き合いなんて誰にでもある。なんで議員だけ特別扱いして税金で面倒みないとならないのだ。
河村たかし (2008). この国は議員にいくら使うのか:高給優遇,特権多数にして「非常勤」の不思議 角川SSコミュニケーションズ pp.51-52
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