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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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「居場所を得る」感覚が

 「家族が安泰だから,安心して遊べるんですよ。もしも夫婦でもめてたり,子どもがぐれたりしたら,そっちの問題に気を取られてネトゲなんてできないじゃないですか。要は,幸せな奥さんだからたっぷりネトゲができるんです」
 この発想には,なるほどと思った。衣食住足りて,優しい夫や素直な子どもがいて,経済的にも時間的にも余裕がある。幸せな状況があるからこそ,思う存分ネトゲが出来るというのはその通りだろう。
 だが一方,人は幸せに飽きるのだ。平凡な毎日,穏やかな日々,そういう恵まれた状況を「つまらない」と感じる主婦は少なくない。ふつうの奥さんとしての生活に飽きたらなくなったとき,ネトゲという世界を覗いてみれば,実生活では体験できないような遊びが楽しめたり,現実には知り合えない人たちと仲良くなれたり,恋愛や結婚,出産,子育てだって「自分の思い通りに」できる。
 本当は,つまらないと感じるその日々こそかけがえのない大切なものなのだが,目の前に展開される刺激的な世界やドラマチックなストーリーのほうが心の支えのように感じてしまう。平凡な主婦としての日常より,ゲーム世界で注目され,一目置かれ,尊敬を集めることのほうが「自分の居場所を得た」と錯覚してしまうのだろう。

石川結貴 (2010). ネトゲ廃女 リーダーズノート pp.217-218
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