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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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奴隷

 奴隷(スレイブ)という言葉は,19世紀,中央ヨーロッパのスラブ人が広範囲に奴隷化された状態にあったことから派生して生まれた。スラブ人は主要な奴隷候補であり,中世のヴァイキングとアラブの交易に欠かせない「人的資源」だった。キリスト教に改宗していない「野蛮」なスラブ人男女は,格好の取引商品とみられていた。有史以来,人びとは,戦争,飢饉,破産,自然災害などによって家を捨て,職を求めて新たな土地に向かい,生き延びるために隷属的な仕事も受け入れた。ときとしてそれは,アリストテレスが「人間機械」と呼ぶ奴隷となることであり,過酷で危険な仕事につくことを意味した。
 人間性を奪われ「働く機械」となった人びとは,市場で売買される役畜よりひどい扱いをうけた。しかし家畜と違うのは,彼らは,生まれ故郷を遠く離れても自ら属する種族,固有の言語,文化を捨てていなかったことだ。移民と同じように彼らの祖先もまた,5万年以上前にアフリカを旅立ち,世界各地に散らばり,さまざまな人種に枝分かれしていった人びとで,奴隷貿易によって互いに顔を合わせることになった。数千年にわたる人びとと奴隷たちの混合は,(あとから見るように移民や入植者と同様に)人間社会の規模や形態,性質,そして文化を変えた。すでに見てきたように,紀元前3世紀,エジプト人が初めてアフリカ人と出会ったことが,ファラオ(エジプト王)に奴隷をもたらすきっかけとなった。人間と商品との物々交換は人類の歴史とともにあった。

ナヤン・チャンダ 友田錫・滝上広水(訳) (2009). グローバリゼーション:人類5万年のドラマ(下) NTT出版 pp.69-70
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