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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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夫婦のあり方

 うまくいっている夫婦は,自分を甘やかすような考え方を相手にも当てはめようとする。お互いの間違いは状況のせいであり,思いやりのある優しい行為はその人柄によるものなのだ。相手が分別のない行動をしたり不機嫌なときは,相手のせいではない何かの出来事による結果だとして考慮の対象外とする。「かわいそうに。ものすごいストレスの毎日なのね」「あんな言い方をしたのもわかるな。何日も腰痛のひどい日が続いていたのだから」と考えるのだ。しかし何かすてきなことをしてくれたら,優しくて愛らしい性格ゆえと考える。「あの人ったら,誕生日でもないのに花を買ってきてくれたわ。なんてすてきな人なの」と妻が思えばいいのである。
 幸せな夫婦は相手に対して,「疑わしきは罰せずの法則」を適用し,つまり不確かなときは相手に有利なように考えるようにし,不幸な夫婦はまったく逆のことをする。不幸な夫婦は,片方がすてきなことをしてくれても,単なる気まぐれだとか,しかたなくやったことだとしか考えない。「そうね,たしかに花を買ってきてくれたわ。でもきっと会社じゅうの男性が奥さんに花を買っていったのよ」。そして勝手なことや迷惑なことをされると,人間性の欠点が原因だと考える。「あんな口の効き方をするなんて,どうしようもない女だからなのさ」。家じゅう自分を追い回して,話をしてと迫るデブラについて,頭のおかしな人間のするようなことをしているとフランクは言わなかったし,自分が口を利かないのを不満に思ってそうした行動をしたとも言わなかった。彼は妻のことを頭のおかしな人間だと呼んでいるのだ。デブラも,外食のあとで会話を避けようとする夫について,疲れているからとか,1日の最後を言い合いで終わりたくないからだとは考えない。夫はネクラで退屈な人間だと彼女は言っている。

キャロル・タヴリス&エリオット・アロンソン 戸根由紀恵(訳) (2009). なぜあの人はあやまちを認めないのか:言い訳と自己正当化の心理学 河出書房新社 pp.223-224
(Tavris, C. & Aronson, E. (2007). Mistakes Were Made (but not by me): Why We Justify Foolish Beliefs, Bad Decisions, and Hurtful Acts. Boston: Houghton Mifflin Harcourt.)
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