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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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母胎内環境

 子宮の中に安全にかくまわれている発育中の胎児でさえ,その時点の環境が母親の身体であっても,その環境の複雑な影響を受ける。1つの因子は胎内のテストステロンレベルで,これは神経系の発達に作用し,胎児の性別に影響される。テストステロンレベルの高さは自閉症,免疫抑制,および攻撃性と緩やかに相関している。明るい面としては,その作用を受けた者は音楽と数学が得意な場合が多い。胎内のテストステロンは指の長さを制御する遺伝子の発現にも影響する。女性の場合,薬指と人差し指はたいてい同じ長さだが,男性の場合は右手の薬指はたいてい人差し指よりも長い。したがって,指の長さは前述の形質の弱い予測因子だが,その相関はあまりにも弱いので,特定の個人についてそこに何かを読み取ろうとするのは意味がない(とはいえ,ある種のピュタゴラス学派的な論理はある。男性の右手のまっすぐな指は,音楽と数学と攻撃性に結びつく)。胎内のテストステロンレベルは母親と発育中の子の対話の一分なので,それが生まれか育ちかと問われれば,どちらとも決めがたい。

デイヴィッド・オレル 大田直子・鍛原多恵子・熊谷玲美・松井信彦(訳) (2010). 明日をどこまで計算できるか?「予測する科学」の歴史と可能性 早川書房 pp.216
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