ほめ方について,もうひとつ付け加えておきたいことがある。子どもに「あら,ずいぶんはやくできたのね!」「まあ,ひとつも間違えなかったじゃない!」と言うと,どのようなメッセージが伝わるだろうか。親はスピードや完璧さを高く評価している,というメッセージである。けれども,スピードや完璧さは,難しいことに挑戦する場合の敵。こういうほめ方をすると,「すばやく完璧に」できれば賢いと思われるのなら,難しいことには手を出すまい」と思うようになる。では,子どもがすばやく完璧に,たとえば数学の問題などを終えたときには何と言えばいいのだろう。ほめずにおいた方がいいのだろうか。そのとおり。そういうとき,私ならこう言う。「あら,簡単すぎたようね。時間をむだにさせちゃったわ。今度はもっと実になるものをやりましょう」
キャロル・S・ドゥエック 今西康子(訳) (2008). 「やればできる!」の研究:能力を開花させるマインドセットの力 草思社 pp.171-172
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