こういったパラダイムシフトはどこから生まれるか?揺ぎないように見受けられる制約をのりこえて成績を変えてしまうような,こうした創造的跳躍はいかにしてあらわれるのか?アイザック・ニュートンの怪しげな逸話(りんごが頭にぶつかって重力の理論を思いついたという例のあれだ)を受けて,それが青天の霹靂のように突然ひらめくのだ——でたらめで気まぐれでまったく説明しがたいものなのだ——とつい考えてしまいがちだろう。たしかに考えてみれば,ひらめきの瞬間というのは,非常に神秘的なところがあるのだ。
だが念入りな研究の結果,創造的なイノベーションはかなり一貫したパターンをたどることがわかった。傑出性と同じで,目的性訓練の苦難から生まれるのだ.エキスパートは,自分の選んだ分野にとても長いことひたっているために,創造的なエネルギーが充満するとでも言ったらいいだろうか。べつの言い方をすれば,ひらめきの瞬間は青天の霹靂ではなく,専門分野に深く没頭したあとに湧きおこった高潮なのだ。
マシュー・サイド 山形浩生・守岡桜(訳) (2010). 非才!:あなたの子どもを勝者にする成功の科学 柏書房 pp.109
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