忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

とりつかれた時代

 “霊媒”という用語が普通の言葉になった。“敏感者”という言葉もそうだった。これは幽界,境界領域,霊界,第七天など,死者たちが甦りの機会を待ってさまよう霧の王国からのメッセージに異常に敏感な者のことである。
 プロの霊媒や占い師が新聞に広告を出し,表にかかげ,自宅の客間に客を誘った。《ゾイスト》,《ライト》,《バナー・オブ・ライト》といった,増大する心霊術信奉者のために創刊された新聞には,毎日のように新たな定期購読の申し込みがあった。
 ことに1850年代のアメリカは,何かにとりつかれたようだった。心霊主義新聞の主張によれば,少なくとも二百万の健全な市民が信奉者であり,その数はヨーロッパの1.5倍にのぼるはずだった。その多くが,みずからも死者と話したことがあると信じていた。もちろん,誰もがフォックス姉妹のように,壁の奥から霊を呼び出す才能を持っていたわけではない。だが,新たに大流行している“テーブル傾斜”なら,たいていの人びとが行なえた。
 何人かが集まって1本脚のテーブルを囲んで座り,手をふちのあたりにかまえて,指先がぎりぎり表面に触れるくらいにし,テーブルが質問に答えてガタガタと動くのを見守り,物体を動かす霊の力に思念を集中するのだ。


デボラ・ブラム 鈴木 恵(訳) (2010). 幽霊を捕まえようとした科学者たち 文藝春秋 pp.37-38
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]