ファンの応援は本当にアドバンテージなのでしょうか。
アメリカで行なわれた面白い実験があります。大人数の観衆の前でコンピュータゲームを行い,ある条件に従ってプレイヤーと観衆に5ドルの報酬を与えるのです。
ゲームは難易度の高い設定と低い設定の2つが用意され,プレイヤーは次の4つの条件でゲームを行いました。1つ目はプレイヤーがある基準を達成した場合に,プレイヤーと観衆の両者が報酬を得られる「支持」条件。観衆は当然,プレイヤーを応援します。2つ目はプレイヤーが基準を達成した場合,プレイヤーのみ報酬を得られる「中立」条件。観衆の応援は「支持」条件よりも減ります。3つ目はプレイヤーが基準を達成した場合はプレイヤーが,達成できなかった場合は観衆が報酬を得られる「敵対」条件。観衆のなかにはプレイヤーの足を引っ張ろうとする者が現れます。4つ目は観衆のいない場でゲームを行い,プレイヤーは基準を達成した場合に報酬を得られる「単独」条件です。
実験の結果,ゲームの難易度が低い設定のときはいずれの条件でもプレイヤーの成績に大きな差はありませんでした。しかし,ゲームの難易度が高いときには,「支持」条件で行ったゲームの成績が最も悪くなりました。つまり,パフォーマンスの難易度が高い場合,観衆のプレイヤーに対する支持(応援)はむしろ,プレッシャーとなってパフォーマンスを低下させたのです。
有光興記 (2010). 「あがり」は味方にできる メディアファクトリー pp.99-100
PR