交霊会の列席者についての情報を集めるために,わたしたちはさまざまな手段を使ったが,そのすべてがいかがわしいものだった。暗くした交霊室でハンドバックや財布をくすねたり,ポケットを探ったりして,社会保障番号や銀行通帳といったデータを探りだしていたことはすでに触れた。わたしたちはさらに,個人やグループの交霊会に出たいと思う人間は全員その前に教会の公開礼拝に3回出席しなければならない,というルールを作った。そうすれば,希望者たちのことを観察できるうえ,彼らが書いた質問カードから個人的な情報を集めることができるからである。それぞれの質問カードには,上のところにこういうスタンプが押してあった。「この質問カードは,霊となった1人または2人の愛する人に宛てて,その人たちの名字と名前を記入し,1つまたは2つの質問を書いて,あなたのフルネームでサインしてください」こうして書かれた1つの質問カードは,誰かについてのファイルを作成するためにじゅうぶんな手がかりをわたしたちに与えてくれた。
内陣のステージの両側には,霊媒だけが使う小さな部屋が1つずつあった。この部屋にはマジックミラーがついていた。わたしたちはこれを通して礼拝前に会衆を見ては,誰がきているか確かめ,霊からのメッセージをそれにあわせて用意していた。誰かが実証的なメッセージを受け取ったときは,その人間は懐疑的な連中に対していつでもこういうことができたし,じっさいなんどもその説明は使われていた。「霊媒は礼拝の前にわたしの顔を見てさえいなかったんだ。もしメッセージをでっちあげるのに事前の調査が必要だとしたら,わたし宛てのメッセージを用意しなければならないことがどうしてわかったんだ?」わたしたちは,他人が想像する以上に人々のことを知るように努めていた。
M.ラマー・キーン 皆神龍太郎(監修) 村上和久(訳) (2001). サイキック・マフィア 太田出版 pp.118-119
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