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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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レトリックの誘惑

 実験科学はパラドックスの上に成り立っている。その意図するところは,客観的に確かめうる事実を真理の基準に置くことだ。しかし,科学に知的な喜びを与えるのは,退屈な事実ではなく,事実を意味づけるアイデアや理論である。教科書が事実の重みこそ第一義だと強調する時,理論の展開におけるレトリックの要素が問題になる。現に,事実の発見は,その事実を説明する理論や法則の展開よりも報いられることが少なく,そこにレトリックの誘惑がしのび込むのである。混沌とした自然の実体から,その意味を理解しようとする時,科学者はしばしば事実をもてあそぶことで,理論が実際以上に強力なものであるように見せようとする誘惑にかられる。

ウイリアム・ブロード,ニコラス・ウェイド 牧野賢治(訳) (2006). 背信の科学者たち:論文捏造,データ改ざんはなぜ繰り返されるのか 講談社 pp.36-37
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