確証バイアスは過信へとつながることがあり,さらに過信が翻って確証バイアスへの信頼性を増加させることがある。オスカンプ(Oskamp, 1965)は,過信と確証方略の複合的な影響に焦点を当てた研究を行なった。オスカンプは,集積データの増加と性格判断の妥当性と判断の正確さに対する確信度の関係について検討した。興味深いことに,臨床家の性格判断に対する確信度は,病歴についての情報が追加されていくに従って高まった。しかし確信度が高まっても,妥当性は概ね同レベルのままであった。つまり,オスカンプの結果は,臨床家が過信により当初の仮説に確証的な情報を重視し,その仮説と一致しない情報については無視したり再解釈したりするということを示している。おそらく,確証的な仮説検証方略と過信の結びつきは,臨床家が患者の有益な情報に注意を払うことを妨げ,不正確な診断が下される一因となっているのだろう。
S.O.リリエンフェルド,S.J.リン,J.M.ロー 厳島行雄・横田正夫・齋藤雅英(訳) (2007). 臨床心理学における科学と疑似科学 北大路書房 pp.23
(Lilienfeld, S. O., Lynn, S. J., & Lohr, J. M. (Eds.) (2003). Science and Pseudoscience in Clinical Psychology. New York: The Guilford Press.)
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