このような現象は,サーカスの興行師バーナム(Barnum, P. T.)にちなんで,バーナム効果といわれている(Meehl, 1956)。彼は,かつて「私はすべての人々を引き付けるちょっとしたものを示すように努めている」と言ったといわれる人物である。このようにして,たとえ検査結果がクライエントに関する情報を何も提供していないとしても,クライエントは検査結果が正しいと感じてしまう。つまり,検査結果がバーナムのような内容(ポリアンナ原理に関連している)であったとしても,検査結果が正しいと信じてしまいがちなのである。そして「私に当てはまっています」とクライエントが述べることによって,この症例の概念化や検査結果またその両方に関して妥当性を確認しようとする臨床家は,誤った方向へ導かれてしまうことになるだろう。
S.O.リリエンフェルド,S.J.リン,J.M.ロー 厳島行雄・横田正夫・齋藤雅英(訳) (2007). 臨床心理学における科学と疑似科学 北大路書房 pp.27
(Lilienfeld, S. O., Lynn, S. J., & Lohr, J. M. (Eds.) (2003). Science and Pseudoscience in Clinical Psychology. New York: The Guilford Press.)
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