何らかの初期の記憶が特殊な意味を持つことはありえようが,そのような記憶は非常に影響を受けやすい。初期の記憶の報告を調べることで,2歳の幼児期健忘の閾を跨ぐような信じがたい記憶への,記憶回復技法の影響を検討することができる。ほとんどの成人の最初期の記憶は生後36か月から60か月にさかのぼる。事実,現在の記憶研究者たちは,24か月の月齢以前に起こった出来事の正確な記憶報告はきわめて稀であるとの見解で一致している(レビューとして,Malinoski et al., 1998を参照)。非常に早い時期の人生の出来事が想起できないというこの現象は,児童が情報を処理し,検索し,共有する方法に影響するような発達的変化に大きくかかわっている。
S.O.リリエンフェルド,S.J.リン,J.M.ロー 厳島行雄・横田正夫・齋藤雅英(訳) (2007). 臨床心理学における科学と疑似科学 北大路書房 pp.184-185
(Lilienfeld, S. O., Lynn, S. J., & Lohr, J. M. (Eds.) (2003). Science and Pseudoscience in Clinical Psychology. New York: The Guilford Press.)
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