非常に早い時期の記憶報告は,幼児期後期の報告と同じように,ささいな暗示の影響を受けやすい。リンら(Lynn et al., 1999)は,初期記憶を誘発するために異なった2つの語法を使用した。1つの語法は高い期待の事例であるが,参加者は「いつ初期の記憶を得たのかを教えてください」と伝えられた。もう1つの語法は低期待のケースで,参加者は「思い出せないならそれでも結構です」と伝えられた。高期待の語法は初期の記憶の報告を導いた。(出来事が報告された年齢は)高期待で平均2.48年,低期待で3.45年であり,ほぼ1年の差があった。4回の再生試行の終わりまでに,高期待条件の43%の参加者が2歳当時かそれ以前の記憶を報告し,低期待群の参加者では同様のことを20%が報告するという結果であった。
S.O.リリエンフェルド,S.J.リン,J.M.ロー 厳島行雄・横田正夫・齋藤雅英(訳) (2007). 臨床心理学における科学と疑似科学 北大路書房 pp.185
(Lilienfeld, S. O., Lynn, S. J., & Lohr, J. M. (Eds.) (2003). Science and Pseudoscience in Clinical Psychology. New York: The Guilford Press.)
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