シベックら(1997b)は,参加者に5歳の年齢まで退行させ,少女の場合には人形と遊んでいるところ,少年の場合には男性的な玩具で遊んでいるところを暗示した。この研究で重要な側面は,それらの玩具が年齢退行の暗示のターゲットとなる時期の後の,2年もしくは3年までは公表されることがなかったことである。参加者の半数は催眠による年齢退行の教示を受けたが,他の半数は催眠の文脈で年齢退行の教示を受けなかった。興味深いことに,催眠を受けなかった者は誰一人として暗示による影響を受けなかった。対照的に,催眠を受けた参加者の20%が経験の記憶を現実であると評定し,退行された年齢で起こった出来事に確信を持った。
S.O.リリエンフェルド,S.J.リン,J.M.ロー 厳島行雄・横田正夫・齋藤雅英(訳) (2007). 臨床心理学における科学と疑似科学 北大路書房 pp.188-189
(Lilienfeld, S. O., Lynn, S. J., & Lohr, J. M. (Eds.) (2003). Science and Pseudoscience in Clinical Psychology. New York: The Guilford Press.)
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