パチンコの問題に限らず,この国には,偽善,欺瞞が蔓延している。
省エネが盛んに謳われ,エコ,エコと煩わしいほどだが,一方で,自動販売機の設置数は世界一である。24時間モーターを回し続けて電気を浪費し,冷却のモーターから熱を発し続けている。
2008年末の数字で自動販売機の設置台数は526万3900台,年間売上げは,5兆7478億円余である。自動販売機を減らす機運はまったく見えてこない。野放し状態であるし,むしろ,増え続けている。
タバコの自販機は成人識別の必要から,減少傾向にあるものの,飲料の自販機は増える一方である。自動販売機を半分に減らせば,原発が一基いらなくなるといわれている。
都市の美観を損ね,エネルギーを浪費し,モーターから熱を発散させ,ほとんどよいことがない自動販売機が放置されていることに,パチンコ問題と似た構造を思い起こされてならない。
政治家は,献金してくれる組織には弱いのである。エコノミストも,自動販売機の放置に対して言及する人物はいない。エコノミストも企業には弱いのである。セミナーなどで企業から声がかかり,高額の講演料を手にして企業のお世話になっているからかどうかは知らないが。
偽善や欺瞞の多い点では,日本は世界のトップクラスなのである。
若宮 健 (2010). なぜ韓国は,パチンコを全廃できたのか 祥伝社 pp.104-105
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