チャネリングと言えば,何か新鮮な響きがあるが,あれは古代からある霊媒ではないか。日本では,イタコが知られている。宇宙からお告げを受けたチャネラーは,霊能者を横文字に置き換えたにすぎなかったが,自己啓発セミナーに飽き足らなくなってニューエイジ思想や精神世界に興味をもつようになった松崎のような者たちに強い影響を与えたのだ。
<自分が一番ワクワクすることをしてください>
バシャールが発するメッセージは,多くの人々を魅了していった。やがて日本人の中からも,バシャールと交信するチャネラーと呼ばれる霊媒師が誕生した。ニューエイジ系のセミナー会社が志望者から受講料をとって,チャネラーを養成していたからである。公開チャネリングでは,チャネラーが宇宙意識とつながると,音声が変わったり,体を痙攣させながら宇宙や地球の「真実」を語ってゆく。そうした興行的な面白さがもてはやされた。
チャネリングに魅了されたのは,好奇心旺盛な人々だけではなかった。本来ならば,カウンセリングを受けなければならないような悩みを抱えた者が,バシャールのメッセージを真に受け,問題解決の指針にするようになった。やがて程度の低い人生相談の様相を呈していったのである。
福本博文 (2001). ワンダーゾーン 文藝春秋 pp.176
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