物理学者を自称する人々は,家庭用の流し台を使って,異常なほど熱心に実験をおこなっている。彼らの研究によれば,ランダムな水流が消えて,コリオリ効果が観察できるようにするために,流し台を3週間以上動かさないでおく必要がある。それだけでなく,コリオリ効果が十分に作用するだけの時間をかせぐために,水は流し台から一滴ずつ流さなくてはならない。流し台で洗濯物を手洗いしたあと,そんなふうに水は流れることはないのに。
同じことはトイレでも言える。この話にはいつも笑ってしまう。トイレは水が渦を巻くように設計されているのだ。なかなか取れにくい「頑固な汚れ」も,渦があれば取れやすくなる。便器内に水を流す排水管は角度をつけて取り付けてあるので,いつでも同じ向きの渦ができるのだ!私の家のトイレを床からはぎ取って,飛行機でオーストラリアに送っても,今と同じ渦を巻いて流れるだろう。
フィリップ・プレイト 工藤巌・熊谷玲美・斎藤隆央・寺薗淳也(訳) (2009). イケナイ宇宙学:間違いだらけの天文常識 楽工社 pp.42
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