このことについてちょっと考えてみよう。アマチュア天文家たちはいつも空を眺めているのだ。だが,UFOを見たといって私に会いにきたり電子メールを送ってくる人たちは,みなアマチュア天文家ではない。実際のところ,アマチュア天文家が,空で何か不可解な現象が起きているのを見たという話を,私は聞いたことがない。彼らのほうが,普通の人たちよりもはるかに多くの時間,空を見ている。統計的にみれば,彼らのほうがUFOをより多く発見しそうなものだが!どうしてこうなるんだろう?
答えは簡単だ。アマチュア天文家は空を研究していることを思い出してほしい。彼らは空に何があり,どんな現象が起こりうるかを知っている。彼らが流星——あるいは金星でも,人工衛星の太陽電池パネルへの太陽光の反射でもいいのだが——を見たとして,それが異星人の宇宙船でないことを,彼らは知っているのである。アマチュア天文家は空についての道理を心得ている。実際,私が話したことがあるアマチュア天文家はみな,UFOがエイリアンの宇宙船であるということについてはきわめて深い疑いを抱いていた。このことは,多くのUFO目撃談を自然現象として説明する,非常に強力な論拠である。
フィリップ・プレイト 工藤巌・熊谷玲美・斎藤隆央・寺薗淳也(訳) (2009). イケナイ宇宙学:間違いだらけの天文常識 楽工社 pp.296-297
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