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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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健康法の根拠

 先日,身体の一部をマッサージするとあらゆる病気が治るという健康法をテレビで紹介していたが,その考案者は「なぜ寝たきりの猿がいないのか。それは自然な生活を送っているからだ。猿や猫が医学部に行って医学を勉強するだろうか。人間だけが医者になるのだ」と話していた。
 ふつうなら,ここから出てくる結論は,「自然界の動物は,寝たきりになるほど長生きしないし,医学部へ行けるほど頭が良くないし,入学金を払えるほど金持ちでない」ということだと考えるだろう。しかしテレビでは「だから人間は不健康だ」という結論を引きだしていた。
 わたしなら「自然の動物が虫歯になるだろうか。歯を磨く人間だけが虫歯になる。野生の動物が近視になるだろうか。学術書や請求書を読む人間だけが近視になる。野生の動物が頭痛に悩むだろうか。シソとミョウガと納豆(これらはほんらい食品ではない)を食べる人間だけが頭痛に苦しむのだ」と主張して,歯を磨く,学術書や請求書を読む,シソとミョウガと納豆を食べる,といった行為をやめるよう提唱するところだ。

土屋賢二 (2001). 哲学者かく笑えり 講談社 pp.43-44.
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