ノルウェー軍の数十万人の徴集兵を対象とする調査が示す単純な事例から,社交的な交際相手(この場合は兄弟)の数が人にどんな影響を及ぼすかがわかる。しばらく前から知られているように,最初に生まれた子供は2人目よりもIQのスコアが数ポイント高く,同じように2人目は3人目よりも少し高い。だが,こうした違いをもたらすのは,生まれつき決まっている生物学的な要因なのだろうか,それとも,あとから生じる社会的要因なのだろうか。これが,この研究領域における未解決の問題の1つだった。ノルウェー兵の調査からわかったのは,家族の規模や構成といった社会的ネットワークの単純な特徴が,こうした違いの原因だということだった。第二子の幼少時に上の子供が亡くなると,第二子のIQは上昇し,第一子と同じくらいになる。第三子の幼少時に上の子どものどちらかが亡くなると,第三子のIQは第二子と同じくらいになる。上の子供がともに亡くなると,第三子のIQは第一子と同じくらいになるのだ。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.34
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
元論文: Kristensen, P., & Bjerkedal, T. (2007). Explaining the relation between birth order and intelligence. Science, 316, 1717.
PR