この点について,私たちは,社会的ネットワークには創発性があるという言い方をしている。創発性とは,部分が相互に作用し合いつながり合うことによって,全体が獲得する新しい特質のことである。創発という考え方を理解するには,次のようなアナロジーが役に立つ。ケーキは,その材料のいずれとも違う味がする。また,それぞれの材料の味を平均しただけの味でもない。たとえば,小麦粉とタマゴの中間の味がするわけではない。そんなものよりもずっとおいしいのだ。ケーキの味は,その材用の味の単なる合計を超えたものである。人間の場合も同じように,社会的ネットワークを理解すれば,いかにして全体が部分の合計よりも大きくなるかが理解できるのだ。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.41-42
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
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