あなたが他の人より幸福だったり裕福だったり健康だったりするなら,ネットワーク上でたまたまきわめて有利な位置を占めているのかもしれない(たとえ自分自身の位置がわからなくても)。また,ネットワークの全体構造が大きな役割を果たしているとも考えられる(たとえ自分ではその構造をまったくコントロールできなくても)。さらに一部のケースでは,こうしたプロセスがネットワーク自体にフィードバックを返すこともある。多くの友人を持つ人は裕福になるかもしれず,そうなればさらに多くの友人を引き寄せる可能性があるのだ。こうした「豊かな者はますます豊かに」という力学が意味するのは,社会的ネットワークを通じて,私たちの社会に存在する2種類の不平等が劇的に拡大してもおかしくないということだ。つまり,状況的不平等(一部の人は社会経済的により良い状況にある)と位置的不平等(一部の人はネットワーク上でより良い位置を占めている)である。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.48
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
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