パートナーと出会う場所や状況は,過去100年にわたって変化してきた。それを示す最高のデータが,フランスで実施されたある調査に含まれている。人が配偶者と出会う場としては,ナイトクラブ,パーティ,学校,職場,休暇旅行先,家族の集まり,あるいは単純に「近所」などが考えられる。調査に携わった研究員たちは,こうしたさまざまな場所を視野に入れつつ出会いの場の変遷を跡づけた。たとえば,1914年から1960年のあいだを見ると,15〜20%の人が将来の配偶者に近所で出会ったと回答している。ところが,1984年までにこの比率は3%に低下している。現代化と都市化の結果,社会的な絆が地理的制約を受けることが少なくなったためだ。
インターネットの発展とともに,地理的条件の重要性はさらに低くなっている。2006年には,アメリカの成人インターネット・ユーザーの9人に1人,合計すると約1600万人が,出会い系サイトをはじめとするオンラインサイト(たとえばマッチ・ドットコム,イーハーモニー・ドットコムなど,無数にある)を利用して,出会いの相手を探していると回答している。ある体系的な全国調査によれば,こうした「オンライン・デート相手探し」を利用した人の43%,つまり約700万人が,オンラインで出会った相手と現実のデートにこぎつけ,17%,つまり約300万人が長期的な関係に入るか結婚するかしたという。一方,結婚していたり,長期的で親密な交際相手がいたりするインターネット・ユーザーの約3%が,オンラインでパートナーと出会ったと報告している。この数字は今後数年にわたって増えていることだろう。隣の女の子の時代は去った。かつてのような地理的制約から解放された(オンラインとオフラインの)社会的ネットワークを通じて,パートナーと出会う機会がますます増えていくのである。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.91-92
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
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