性別による役割分担に関して,リラードとウェイトは次のことを発見した。結婚が男性の健康にとって有益なのは,主として社会的支援を受けられたり,妻を介してより広い世界とつながりを持てたりするからなのだ。また,既婚男性がいわゆる「独身男の愚行」をやめることも同じく重要である。結婚すると,男性は大人の役割を引き受ける。つまり,ガレージにあるオートバイを処分し,非合法なドラッグをやめ,規則的に食事をし,仕事に就き,常識的な時刻に帰宅し,責任を真剣に受け止めるようになる。これらはすべて男性の寿命を延ばすのに役立つ。妻が健康にかかわる夫の行動を変えさせることを含め,社会的制約のこうしたプロセスは,結婚によって男性の健康が改善されるうえで不可欠なものに思える。一方,結婚によって女性の健康や寿命が改善される主な理由はずっと単純だ。つまり,結婚した女性は経済的に豊かになるのである。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.114
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
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