過去数十年にわたり,アメリカでも自殺の流行がじわじわと広がってきた。1997年のある研究で,アメリカの若者の13%は前の年に本気で自殺を考えたことがあり,4%は実際に自殺を図っていたことがわかった。さらに20%の若者が,前の年に自殺を図った友人がいると回答した。1950年から1990年にかけて,15歳から24歳で自殺した若者の割合は,10万人当たり4.5人から13.5人に増えた。興味深いのは,同じ時期に自殺を図ったフィクションが流行したことだ。IMDBドットコムというインターネット上の映画データベースから抽出した映画の筋書きを分析した研究によれば,自殺を扱った映画の割合は,1950年代の約1%から1990年には8%超に増えたという。この2つの増加にはつながりがあるのか,どちらが先だったのかは,はっきりとはわからない。だが人と人とのつながりは,私たちを幸せにしてくれることもある一方で,私たちを自殺に向かわせることもあるのは間違いない。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.162
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
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