とはいえ,ワールド・オブ・ウォークラフトやセカンドライフのように膨大なプレーヤーが参加するオンラインゲームであれ,フェイスブックやマイスペースのようなソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)であれ,ユーチューブ,ウィキペディア,eベイのような情報集積サイトであれ,マッチ・ドットコム,eハーモニーのような出会い系サイトであれ,新しいテクノロジーは,他人とつながりたいという人類の古くからの傾向を実現しているにすぎない。ただし,空気を通じて伝わる会話ではなく,サイバースペースを流れる電子によってなのだが。オンライン上に形成される社会的ネットワークは,抽象的で,巨大で,複雑で,超近代的かもしれないが,普遍的かつ根源的な人間の傾向を反映してもいる。こうした傾向が生じたのは,先史時代,人類がアフリカのサバンナでたき火を囲んで語り合ったときのことだった。印刷機,電話,インターネットといったコミュニケーション技術の目覚ましい進歩さえ,私たちをそうした過去から引き離すものではない。そうではなく,むしろ近づけているのである。
ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムズ・H・ファウラー 鬼澤忍(訳) (2010). つながり:社会的ネットワークの驚くべき力 講談社 pp.318-319
(Christakis, N. A. & Fowler, J. H. (2009). Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives. New York: Little, Brown and Company.)
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