われわれの最も基本的な知覚過程から他人の扱いまで,物事をグループ化することが人の脳の根源的機能である。多くの幻視に見られるように,時間的一致と空間的接近については十分といえる。もしわれわれが,1つの物体を見るのとほぼ同時に音を聞くと,その物体が音を発したと推定し,実際にそうではないことを学習しないかぎりは,そう思ってしまう。われわれは,集めて分類し,一生の間に無数の分類概念を身につける。それらを,われわれの世界の理解を早めるために利用するのである。もし私が新しい物体を「猫」という分類の一員と判断すると,その新たな物体について,最初から始めることなく,あらゆる種類の蓄積情報(「肉を食べる」,「引っ掻く」,「台所で振り回されるのを嫌う」など)を得ることができる。これによって,私は時間とエネルギーを大量に節約でき,明確な生存の活力を得ることができる。
キャスリン・テイラー 佐藤敬(訳) (2006). 洗脳の世界——だまされないためにマインドコントロールを科学する 西村書店 PP.62
(Taylor, K. (2004). Brainwashing: The Science of Thought Control. London: Oxford University Press.)
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