しかし,最大の問題は,エントリーシートでその人物の見極めができるのか,ということだろう。大学生としての経験のレベルが低すぎる,日本語のレベルに問題があるなど,明らかに能力の低いものはNGと判断できるだろうが(そして,そういうモノも少なくないのだが),就活エリート達がまとめるエントリーシートはそれなりのレベルに仕上がっている。なかなかダメだしはできないだろう。そして,そこに書かれていることが真実であるかどうかは企業の人間には絶対に判断できない。一方で,自己分析などマジメにやらず,面倒臭くて適当に仕上げてしまった,と言う「ハイパー層」のエントリーシートにNGを出してしまうかもしれない。ある人事キーパーソンも,こう漏らしている。
「ダメな人を通過させてしまうのはいいんです。後の面接で何とかできますから。でも,実は優秀な学生を落としてしまっているのではないか。そんな気がしてならないんです」
エントリーシートでの事前選考は,企業にとって,とても大きいリスクを抱えたものなのだ。
豊田義博 (2010). 就活エリートの迷走 筑摩書房 pp.72
PR