近年,若手社員の間で,勉強会と称する取り組みが盛んである。名のとおり,仕事をしていく中での知識・技術・取り組み姿勢などを学ぶ場であり,同職種,同業種の人が集まるなどその形は多様で,キャリア・コンサルタントが開催していたり,あるいは,ごく普通の若手社会人が発起人になっていたりする。かつての異業種交流会のようにネットワークを広げていくという趣旨もあるようだが,会の重ね方,議論の内容などを聞いていると,私には,その多くが現実からの逃避行為であるように思えて仕方がない。「スター願望」を持った若手が仕事のできる社会人になるというビジョンのもとに,「そうだよね!」と同調しながら「コミュ力」をフルに発揮して心地よい場を重ねるということが,つまり,同世代の就職活動のエリート達がかつての有能感を感じるために集まるということが目的の場になっているように思えて仕方がない。
豊田義博 (2010). 就活エリートの迷走 筑摩書房 pp.145-146
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