そして,中傷の書き込みの1つに「殺人事件の関係者は百人いる,その中の一人がスマイリー菊地」「強姦の共犯者,100人衆の一人,スマイリー鬼畜」とあるが,この「百人の関係者」は警察が発表した情報ではないことも説明してくれた。
事件が発覚した当時,マスコミの過剰とも思える報道合戦が展開した。エスカレートした週刊誌などが,ありもしない内容を,まるで事実であるかのように伝えていたらしい。読者の興味を引きつけるためなのか,被害者までもデタラメな記事を書かれ,犠牲者となった遺族の方まで追いかけ回したという。犯罪被害者の人権やプライバシーに対する認識が低い時代だった。
殺人事件に関わった「百人」というのも,加熱した報道合戦から出た情報のようだった。
この真相は「捜査の過程で近所の人たちに聞き込みなどをした人数も入れれば,百人ぐらいになる」ということらしい。何でもかんでも「関係者」という表現をすれば極端な話,事件の当事者,操作した警察官,検察官,裁判官,弁護士までもが事件の関係者になりうる。一つの言葉で,これだけの誤差が生じることを教えてもらった。
スマイリーキクチ (2011). 突然,僕は殺人犯にされた:ネット中傷被害を受けた10年間 竹書房 pp.96
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