自己開示が健康に及ぼす影響には,4つの限定条件がある。
1.自己開示から得られる最も重要な身体的,心理的効用は,開示した直後ではなく,自己開示全体が生み出す否定的感情の高まりを経験した後に得られる。
2.自己開示の健康への効果は,人が以前は話さなかった否定的な異様の個人情報を開示した後に最も顕著になる。ふだんから自己開示をしている人や,肯定的または中立的な内容を開示する人は,身体的,心理的健康において大きな変化は見られない。
3.多くを開示することが,必ずしも良いこととは限らない。あまりにも多くの情報を開示する人は,他者に不安と懸念を生じさせ,その結果他者から遠ざけられてしまう。
4.自己開示が感情や健康に及ぼす影響は,自己開示という行為そのものではなく,開示の性質によって決まるようである。出来事を思い出した時の感情を開示することが重要な要素となっているらしい(Pennebaker, 1988)。
R.M. コワルスキ (2001). 言い出しがたいことを口にする:自己開示と精神的健康 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 251-278.
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