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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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 「ん」は,清濁の区別からすれば,本居宣長が言うように伝統的には「濁」の方に考えられてきた。「ん」は,日本語の中では,語頭につく言葉がなく,前の音の鼻音化によって次に来る音との間で繋ぐ働きをするからである。
 しかし,同時にこの清音と濁音の間にある「ん」は,薄明の世界をも意味している。これは,日本の文化が「イエス」と「ノー」との区別をはっきりしない世界で培われてきたということとも深い関係があるのではないだろうか。
 我々は人の言葉に相槌を打ちながら,あるいは考え事をしながら「んー」と声にならない音を出す。これは「イエス」でもない,「ノー」でもない「保留」を意味するものである。
 「保留」には「清」や「濁」の区別はない。むしろ,それは「清」と「濁」をつなぐ役割をしているように思われる。

山口謠司 (2010). ん:日本語最後の謎に挑む 新潮社 pp.181-182
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