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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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学歴振り分けシステム

 18歳の進路選択への一点集約という日本型学歴社会の特徴は,国際的にみると珍しいものです。先進工業国のなかでこのパターンで学歴形成を続けている社会は,日本と韓国以外にはありません。ちなみに日本の若年成人の高校卒業率は約91%ですが,韓国の高校卒業率はなんと99%です。
 欧米ではどうなっているかといいますと,学歴を振り分けるしくみは,進級するごとに徐々にライバルの数が減っていく,生き残り競争(多分岐型)になっています。このかたちの社会では,義務教育を終えて早々と社会に出た低学歴層が,成人のなかに一定数います。その数はアメリカで約13%,フランスで約21%,イタリアでは約38%にのぼります(『学歴と格差・不平等』)。また,大学や短大(高等教育)も制度が違うため,序列や入学の難しさが日本とは少し異なります。簡単にいうなら,いろいろな水準の学歴集団を作りだすしくみになっているのです。階級や民族についてははっきりした境界線があるのに対し,学歴は細かく分かれているというのが,日本と大きく異なる点です。
 ひるがえって考えると,日本社会でたった1本の学歴分断線によるシンプルな切り分けが成立しているのは,大卒層,非大卒層それぞれの内部に質の違いがあって,それが上下の違いや横並びの違いを受けもっているため,この境界線にかかる歪みがやわらげられているからです。

吉川 徹 (2009). 学歴分断社会 筑摩書房 pp.49-50
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