「science(以後「科学」)」の意味の変遷をOEDは次のように記している。括弧内はその意味での使用の初出年を示し,初出の文は省略する。
(1)知っているという状態または事実。陰に陽に決まっている事柄についての知識または認識。やや広い意味で,個人の属性としての知識。(1340)
(2)学習によって獲得できる知識。ある学習分野を知っていること,または習得していること。いろいろな種類の知識と訓練により獲得できる技能の意味がある。(1390)
(3)知識または学習の特定の分野。認知されている学習分野。中世においては,「7つの科学」は「7つのリベラルアーツ」,すなわち3教科(文法,論理学,修辞学)および4教科(算術,音楽,幾何学,天文学)と同義語としてしばしば使われていた。(1386)
(4)(より限定された意味として)明示的に示される真理,あるいは一般法則の下で組織的に分類され観察される事実の集まりであって,真理を発見するための信頼に価する方法を含む学問領域。(初出文はワット(1725),ハットン(1794))
(5)近年は,「自然科学,物理科学」の同義語として用いられる。この場合は,物質的宇宙の現象と法則についての研究に限定され,純粋数学は科学から除外される。この使い方は,現在では通常の使い方として最も多い。(1867)
市川惇信 (2008). 科学が進化する5つの条件 岩波書店 pp.4-5
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