2010年4月27日の巨人戦でのこと。2回裏のドラゴンズの攻撃が始まる直前,落合監督は球審の森健次郎さんのところへ歩み寄り何かを告げると,森さんはグラウンドを後にしました。実は極度の体調不良だったのです。これにいち早く気づいた落合監督は,「ヘタしたらゲーム中に倒れていた。そうなればゲームが中止になっていたかもしれない。それを見てあげるのも俺らの仕事じゃないのか」と試合後に話していましたが,これにはさすがに驚きました。審判の動きまでチェックしている監督など聞いたことがありません。きっと,試合前からその異変に気づいていたのだと思いますが……。とにかく普通の人ならば気がつかないようなところをチェックし,常に広い視野で目を光らせているというのは間違いありません。落合博満という監督を表すひとつの好例といえるでしょう。
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.101-102
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