仮にセ・リーグの先発投手が全試合6回2失点を続けたとしましょう。そうすれば防御率は3.00。6回3失点なら4.50です。
一方で,セ・リーグなら代えられてしまう6回2,3失点でも,DHのない(引用者注:「ある」の誤植?)パ・リーグは打順の巡り合わせに悩むことなく投手を可能な限り投げさせることができます。そうすると残り2回をきちんと抑え,8回2失点を続けた場合防御率は2.25,3失点を続けた場合3.38となると,約1点の防御率の開きが出てきてしまうのです。
北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有や埼玉西武ライオンズの涌井秀章などは4点取られても完投してしまうゲームがざらにあります。こうしたシステムによってパ・リーグの先発投手には「完投して当然」とまではいかなくても,6回でKOという感覚で投げている投手は少ないでしょう。ですから,その数字上のデータだけを見てパ・リーグの投手の方が優れている,という指摘は,ちょっと違うのではないかと思います。ただ,こういった環境にいるため,パ・リーグの方が体もメンタルも強い選手が生まれているということはあるかもしれません。
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.144-145
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